音小の教育

卒業生メッセージ
河端 亜弥(第45期卒業生)

グラフィックデザイナーとして世界最大手メーカーのブランディングデザインを手掛ける。

現在のお仕事について

今、ブランディングのようなことをしています。会社がなりたいイメージを理解してよりよくするには、どうすればいいのかということを考える仕事をしています。コンサルティングをビジュアル分野でやるようなイメージですね。グラフィック的なポスターもつくりますし、音楽と美術を同時に考えるような仕事です。CDのジャケットもつくっています。私にとって音楽に関するプロジェクトは楽しいですし、ワクワクします。

音小での思い出

私、音小大好きなんです。大きくなって、留学している時もずっとヴァイオリンを弾いていました。今までもヴァイオリンを弾いててよかったなと思うことがいっぱいありました。だから音小にはすごく感謝しているんです。
大学は美大に行ったんですけど、美術にいこうと思ったきっかけは、音小の1年生の時の担任の先生のおかげなんです。その先生が私の絵をほめてくださって、そうしたらクラスのみんなも絵が得意だから亜弥ちゃんに頼もうってなって。絵を描くと喜んでもらえる機会がいっぱいあったんです。それが本当に楽しくて、絵を描くのがより好きになりました。
こうして今、美術に関してのお仕事ができるのはクラスメイトのおかげでもあるんです。

音小で学んだことが生かされていること

音小は、一つ軸があってそれに対して何かを繋げていくことをつくれる場所じゃないかなと思うんです。私だったら一つの軸はヴァイオリンでした。
ピアノとか毎日絶対やらなければならないこと以外に日々見たり聞いたりしたことを自分の専攻分野に生かしていこうと考えながら6年間過ごすのが音小だったんです。違うことをやっていても軸があるからいろいろなことの吸収が速かったと思います。

これから音小を目指すご家庭へ

なりたい職業の中に音楽が入っていないから「音小はなし」ではなくて、多感な小学校時代にどう過ごすかはこの先大きく影響すると思います。違うことを考える時も体験を通して日々努力する音小の6年間というのは、今も非常に役に立っています。考え方の基礎になっています。
私は、以前、「音楽家は音楽のことだけやっていてはだめだ」と恩師に言われたことがありました。また「美術館に行ったりきれいな花を見たり、日頃から社会のことを見たりしていかないとより豊かな音楽はつくれないよ」とも言われました。そういうことを意識して生きていくとわりと自分のジャンルに関係ないことでも取り入れていこうとなります。そういうことを最初に教えてくれたのは音小です。何かやっていくときに違うものを見ていくという原点をつくってくれるような学校であり、いい感覚をつくってくれるような学校ですのでぜひ受験校の一つとしてご検討ください。

冨田 実里(第43期卒業生)

新国立劇場バレエ団レジデントコンダクター

音小での思い出

自然とともに生きる行事がたくさんあったことです。春や秋の遠足、山の学校、冬の学校、夏の学校と、四季折々の景色や空気を味わって伸び伸びと生活できたのがよい思い出です。
私は自然が大好きになったのは、音小のおかげでもあります。

音小で一番力を注いだこと

高学年の時に有志で取り組んだ運動会の応援団です。その時間がとても楽しかったです。「やりたい子たちが集まって何かに取り組む時間」がすごく好きでした。放課後残って活動することが、私にとっては秘密の花園のような感じでした。やりたい子たちで集まって少し残って一生懸命やる時間が好きだったですし、自分たちの考えたことをもとに全校児童を引っ張っていくことに大きなやりがいを感じました。
その後中学生になった私にとって、吹奏楽部活動の時間が、新たな秘密の花園となっていきました。その吹奏楽部で指揮との出合いがあり、その指揮との出合いがあったからこそ今の私がいると思っています。

音小で学んだことが生かされていること

自然の力に助けてもらえることです。これが感じられるのは、音小でいっぱい自然に触れてきたからだと思う時があります。
音小は伸び伸びとしていて、おおらかで型にはまらない自由な空気があふれています。私のおおらかさは音小のおかげだと思う時がたくさんあります。

音小を目指すご家庭へ

音楽大学附属小学校というけど、音楽をスパルタのように取り組む学校なのかと訊かれたら、私はNoと答えます。それよりも自然といっぱい触れ合って、友達といっぱい遊んで、リトミックなど、音楽を通しながら自分が豊かに生きていくことを教えてくれる、そして自分が頑張って取り組みたい時は応援してくれる学校だと思います。この学校で得た「強さ」や「優しさ」や「懐の大きさ」は他になく、これこそが音小の本当の魅力だと思います。音小時代から今も繋がっている私の友達はみな優しく、人生の宝物と言える存在です。

太田 智美(第45期卒業生)

博士(メディアデザイン学)。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科後期博士課程修了。研究テーマは「ヒトとロボットの共生」。現在、同研究科附属メディアデザイン研究所リサーチャー。大阪音楽大学音楽学部ミュージックビジネス専攻助教。

音小での思い出

編入試験でリトミックに出会い、「絶対にこの学校に入る!」と言ったことを覚えています。在学中は、広いリトミック室でのびのびと体を動かしていました。卒業後も私の中にはリトミックが息づいており、ふとした時にリトミックが顔を出します。例えば、現在エンジニアやデザイナーと一緒に新しい楽器を開発しているのですが、その楽器は「音楽と身体性」を融合させたものです。この楽器の原点にあるのも、実はリトミックなのです。

音小で学んだことが生かされていること

「自由」と「責任」です。研究生活では、誰も知らない答えを探求し続けますが、そこには自由と責任が伴います。どうやったらヒトとロボットの共生社会が創れるのか、どういう角度からどういう手法で行うのがいいのかなど、自分で決めなければなりません。「自由」とは、「思考すること」なのかもしれません。音小では、何か特定の答えに導くというよりは、考えることに重きがおかれることが多かったように思います。自分で考え、ものごとを推し進める力のようなものを教えてくれたのが音小でした。

音小を目指すご家庭へ

音小は「あれをしなさない」「これをしなさい」という指導ではなく、「なぜこれをするのか」を考えさせてくれる場所でした。何かを強制されたり、良し悪しを振り分けられたりしたことは、ほとんどなかったように思います。私にとって音小は、「自由」という難しさに挑戦できる場所の一つでした。年齢を重ねるにつれ、もしかしたら「自由」が多くなるかもしれません。「自由」の難しさを学べることは、今後とても大きな力となると思います。

星風 まどか©宝塚歌劇団

宝塚歌劇団

プロフィール

2014年3月宝塚歌劇団に入団し、『宝塚をどり』で初舞台。2015年2月、宙組に配属。新人公演や宝塚バウホール公演で数々のヒロインを務め、2017年11月、宙組トップ娘役に就任。『WEST SIDE STORY』『天は赤い河のほとり』『オーシャンズ11』『アナスタシア』などの話題作に出演。2021年7月、花組トップ娘役に就任。「元禄バロックロック」「TOP HAT」などに出演。

メッセージ

合言葉は「明るく元気、何かで一つ。」
音小は子どもの個性を何よりも大切にしてくれました。その中から、自然に生まれるコーラス、リトミックへの皆の集中力が、私は大好きでした。宝塚歌劇団での鍛錬は、決して優しいものではありませんが、ある時は同期と励ましあい、ある時は先輩方の呼吸を感じつつ、目標を追求する基礎を、実は私は音小時代に授かっていたのです。音小時代に経験し学んだことを大切にし、これからも技芸の道を精進し歩んで参ります。

横溝 耕一(第45期卒業生)

NHK交響楽団ヴァイオリン奏者、ウェールズ弦楽四重奏団ヴィオラ奏者

プロフィール

桐朋学園大学卒業。第57回ミュンヘン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門第3位ほか受賞歴多数。国内外の音楽祭にも多数出演。小澤征爾音楽塾ではコンサートマスターを、別府アルゲリッチ音楽祭ではソリストを務める。

メッセージ

優れた音楽家とは。この永遠の課題に今の僕が出せる答えは表現者であること、コミュニケーション能力があること、です。僕の職業であるオーケストラや弦楽四重奏というものはまさしくその能力が試されます。
音楽とは人種、言語、国境を越えたコミュニケーションツールであり、僕たちは表現をもって仲間や聴衆に訴えかけます。音小では自身で感じ考え、友人たちとディスカッションする中でこの能力が自然と身につき個々の感性や可能性を最大限引き出してくれました。

本多 ひろみ(第45期卒業生)

NHK記者

プロフィール

国立音楽大学附属小学校・国立音楽大学附属中学校・国立音楽大学附属高等学校音楽科 卒業
早稲田大学政治経済学部卒業

メッセージ

音小時代は、私が劇的な「変化」を遂げた時代。日々の気づきをみんなの前で話す3分間スピーチに、友達や保護者の前で練習の成果を披露する音楽発表会。恥ずかしがり屋で引っ込み思案だった私にとって自分を表現する機会が多い音小は訓練の場でした。音楽やリトミックの時間がこなければいいのに・・・いつも思っていました。こんな私を変えてくださったのが、音小の先生方。自分の数少ない良さをひたすら褒めてくれ、そのおかげで自分に自信が持てるようになっていき、あれだけ嫌だった音楽やリトミックの授業を「楽しい!」と思えるまでになりました。その瞬間からはまるで別人。母親も驚くほど、人の前に出ることや自分を表現することが大好きになっていきました。音小時代は、今の私の土台を作ってくれたかけがえのない時代です。