デザイナーとして世界最大手メーカーのブランディングデザインを手掛け、テキスタイル作品を国際的に発表。
現在のお仕事について
現在は、テキスタイルを中心とした作品制作と、ブランディングやビジュアルデザインに関わる仕事の二つの軸で活動しています。
個人の制作では、素材や構造、文化的背景などをリサーチしながら作品を制作しており、近年はミラノでテキスタイル作品を発表しました。一方で、企業や組織のブランディングに関わる仕事では、目指すイメージを理解し、それを視覚的に表現するための提案を行っています。また、音楽家の友人のCDやコンサート、イベントに関するデザインを制作する機会もあり、音楽にまつわる仕事は今でも特別に楽しく感じています。
私にとって、この二つの活動は音楽に置き換えて考えることができます。チームで取り組むデザインの仕事は、オーケストラの一員として演奏することに近く、それぞれの専門性を持つ人々と協力しながら一つの表現をつくり上げていきます。一方で個人の制作は、新しい音楽を作曲するような感覚に近く、自ら問いを立て、試行錯誤しながら表現を形にしていきます。
私にとって音楽は今でも創作の根幹にあります。大人になってからもヴァイオリンを弾き続けており、現在も演奏ホールで演奏する機会があります。音楽とデザインは別々のものではなく、どちらも私の創作活動を支える大切な存在です。
音小での思い出
私は音小が大好きです。音小での思い出はたくさんありますが、特に印象に残っているのは、毎日音楽が身近にあったことです。同じように音楽が好きな仲間たちと過ごした時間は、今振り返ってもとても貴重なものでした。
また、子どもの頃からバッハやモーツァルトをはじめとする何百年も前の音楽家たちの作品に日常的に触れていたことも、今振り返ると大きな影響だったと思います。習い事として音楽を学ぶだけでは、なかなか得られない環境だったとも感じています。音小では、クラスメイト全員がそうした作曲家たちを知っていて、ごく自然な共通の話題として存在していました。
そのためか、200年、300年前という時間の隔たりをあまり遠く感じません。同時に、200年、300年先の未来についても自然に想像することがあります。長い時間の流れの中で物事を捉える感覚は、現在の制作活動にも良い影響を与えていると感じています。こうした感覚は、音楽が日常にあった音小という環境だからこそ育まれたものかもしれません。
また、音小1年生の時の担任の先生との出会いも忘れられません。先生が私の絵を褒めてくださったことがきっかけで、クラスメイトから絵を頼まれるようになりました。自分の描いたもので誰かが喜んでくれることが嬉しく、絵を描くことがますます好きになりました。
こうして今、美術やデザインに関わる仕事ができているのは、その時の経験のおかげでもあると思っています。
また、今でも音小時代の友人たちとはよく会っています。音楽の話はもちろん、それぞれの仕事や興味について話すことも多いのですが、音楽家として活躍している友人たちの視点には今でも新しい発見があります。私にとって大切な刺激になっていて、現在のデザインや作品制作にも大きな影響を与えていると感じています。
音小で学んだことが生かされていること
音小で学んだことで今も生かされているのは、「一つの軸を持ちながら世界を広げる」という考え方です。
私にとってその軸はヴァイオリンでした。毎日の練習やレッスンだけでなく、日々見たり聞いたりしたことを自分の表現にどう生かせるだろうかと考えながら過ごした6年間でした。軸となるものがあることで、異なる分野のことも吸収しやすくなり、自分の世界を広げることができたように思います。
以前、恩師から「音楽家は音楽のことだけをやっていてはいけない」と教わったことがあります。また、「美術館に行ったり、美しい花を見たり、社会の出来事に目を向けたりすることが、豊かな音楽に取り組む上で大切だ」とも言われました。
そうした考え方は今の制作活動にもつながっています。テキスタイルであってもデザインであっても、まず歴史や文化、人々の営みに目を向け、その中から新しい表現を考えるようにしています。
音楽、美術、デザインと分野は変わっても、物事を深く観察し、学び続ける姿勢の原点は音小で過ごした時間にあると感じています。
これから音小を目指すご家庭へ
音楽家を目指す人はもちろん、将来どのような道に進むとしても、音小で過ごした時間はきっと大きな財産になると思います。
私自身、この学校で学び、友人や先生方と出会えたことを心から良かったと感じています。卒業して何年経った今でも、そう感じる機会がたくさんあります。
ぜひ進学先の一つとして検討していただけたら嬉しいです。
メディア掲載
Forbes JAPAN
「クラシック音楽」はデザインにどんな気づきをもたらすのか?
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